「MOTHER4」から「Oddity」へ。権利侵害を乗り越えたオリジナルかつファンゲームが正式発表される。

「おとなもこどもも、おねーさんも」ーこれは、MOTHERを語る上で欠かせないキャッチコピーである。

コピーライターである糸井重里氏がゲームデザインをした、任天堂から発売された名作RPG「MOTHER」シリーズがある。

その圧倒的なメッセージ性、世界観に魅了され尽くしたファン達が、MOTHERシリーズの続編を開発するプロジェクト「MOTHER4プロジェクト」が2008年から2017年にかけて続けられていた。

しかしファンゲームとはいえ任天堂のビッグタイトルである「MOTHER」シリーズ続編を作るのは、かなりリスクを抱えていたものだった。

任天堂は「最強」とまで呼ばれている法務部が存在する。ここ最近では、マリカー裁判(東洋経済オンラインリンク)や、コロプラ裁判が記憶に新しいと思う。

こと著作権や知的財産権に関してはかなり厳しく、「MOTHER4プロジェクト」を制作している同時期にも、数々の任天堂ファンゲームが公開停止処分を受けていたという事実がある。

それを受け、2017年に「MOTHER4プロジェクト」は開発方針を転換、オリジナル作品でリリースすることを決定したのである。

そして2020年1月2日、「Oddity」というタイトルを引っさげて、満を持してトレーラーが発表された。

トレーラーには往年の「MOTHERシリーズ」とよく似た雰囲気、戦闘シーンを出しながらも、MOTHERのアセット(ゲームにおける画像や音楽データ、キャラデータなど)を流用せず1から作り出されたであろうドット絵が丁寧に描かれていたり、戦闘も独自の要素が含まれていることが分かる。

その注目度は1/2に発表されたにも関わらず、Youtube再生数は既に10万を越しそうな程だ。MOTHERファンは是非とも1度は動画を見ていただきたい。

現在どのプラットフォームで販売されるかは発表されていないため不明だが、風の噂ではPC(Windows、Mac、Linux)はプレイ可能なようだ。また、日本語にも対応予定とのことで注目できる。

 

閑話休題

今回の記事では、なぜ「MOTHER」シリーズのファンゲームである「Oddity」に注目したのかを、事例や「MOTHER2」のレビューもしつつ解説していきたいと思う。

これを機に、たまには最新ゲームではなく、懐かしさを感じるレトロゲームに触れてほしい、ひいてはSteamのインディーズゲームもプレイしてほしいという筆者の願いを旨に、書いていきたい。

当記事の目的
①レトロゲームを語る上で外せない名作RPG「MOTHER」シリーズを知ってほしい
②ファンゲームだからと言って侮れない界隈の強さを知ってほしい
③要するに出たら買ってほしい

(;・W・)<今回は「ゲームレビュー」的な感じに書いてみるテスト記事です。慣れていないので間違いや下手な言い方があったら申し訳ありません。

( ・W・)<また筆者は「MOTHER2」をプレイしていますが、MOTHER無印、Mother3は機会損失でプレイしておりませんので、ここではMOTHER2のみに触れた記事となっております。あらかじめご了承ください。

MOTHER2が発売された背景。糸井氏が詰めたエッセンスと故・岩田氏の整理術

「MOTHER2 ギーグの逆襲」は、1994年にスーパーファミコンから発売されたゲームだ。

その5年前、1989年に「Mother」というRPGがファミコンから発売されている。その続編は発売以降から既に開発が始まっていた。

開発から4年経ち、材料である音楽、画像、シナリオは揃いつつもそれ自身が動いていなかったというのだ。

開発が頓挫しかかっていたところに、故・岩田氏(元任天堂社長)が開発メンバー入りし、その手腕で1年の開発の後に出来たのが「MOTHER2 ギーグの逆襲」である。

そのため、4年間糸井氏が練りに練った材料を、岩田氏が上手に調理した作品とも言える。その長い開発期間が現在に至るまで熱狂的なファンを生み出した要因の一つだと言える。

 

出典 Nintendo,「Mother2ふっかつさい開催記念対談」,〈https://www.1101.com/nintendo/mother2_wiiu/〉,(最終アクセス2020年1月3日).

SF的で未知を体験して知る冒険物語

MOTHER2というゲームを始める時、往年のRPGと同様に自らの分身である主人公に名前をつけるところから始まる。

後々、ニンテンドー64で発売される「大乱闘スマッシュブラザーズ」では「ネス」と名付けられた主人公だが、本来「ネス」は名前付けの「おまかせ」ボタンで出てくる最初の名前というだけで、実際には他の名前をつけても良い。「ああああ」でも良いのだ。また後々仲間になるポーラやジェフ、プーの他に「ほんとうのなまえ」も聞いてくる。子供の頃にプレイした時にも、その名前付けの多さからやや懐疑的になってたことを思い出す。

また名前付けの中には「好きな食べ物」や「好きな言葉」も聞いてくる。「おまかせ」ではハンバーグやキアイなど、子供の定番の好物が書かれている。とはいえ、昨今ではハンバーグが好きだという子供はもしかしたら少なくなってきたかもしれないが…

このことからも分かるように、どうやら「おまかせ」上ではこの主人公はハンバーグが好きな少年らしい。一方でプレイヤー自身の分身として、自分が感情移入出来る人物を作り出しているとも言える。

 

名前付けが終わった後に始まるのは、子供部屋に眠る主人公が、何か巨大な物が落ちてきて(後に隕石だと判明する)目を覚ます事から始まる。まず彼は外に出て、隕石が落ちたであろう場所に行く。

しかしそこには、警察が既に立ち入りを禁止しつつ、隣人の子供である「ポーキー」が道を塞ぐため見に行けないのだ。そのためまた長い道を通って自分の部屋まで戻っていくのだ。戻って眠ったと思ったら今度は「下品なノック音」と共に起こされ、「ポーキー」が弟が居なくなったから探しに行くと言われる。

なんだろう。この時点で理不尽さを感じることから始まる。すると、その理不尽さを「知った今」その子供は世界が変わって見えるのだ。

今まで「敵」だとは思わなかった、近所の犬やカラスが「敵」として襲いかかってくるのだ。もちろんこれは筆者の考察であって、製作者や他のプレイヤーの考えとは一致しないとは思う。しかしゲーム上でもなぜ最初に出なかった敵が大した時間もかけずに急に出てくるようになったのか説明されない。

そもそも、ゲームでわざわざ出るタイミングを変えるにはいちいちプログラミングを変えなきゃいけなくなるからだ。ならそこには何かしらの理由がある。

なら「何かを知ったことで、味方と敵が少年の中で区別されてしまった」と思うのも仕方ないと思う。

 

我々でもそうではないだろうか?あまり良い例えではないが「この壺を手元に置くと幸せになれる」と女性から言われたとする。また隣に居た友人から「この壺は良い壺で、宝くじが当たった」と言われれば、場合によっては買うだろう。一方で、その壺を売ってる会社が実はネットでも有名な悪徳業者だった、とか壺を買った被害者の言葉を「知っている」のなら話は別だろう。

つまり、壺を売る女性と友人はあなたから見れば「敵」に他ならない。

 

話を戻すと、こうやって主人公は様々な未知と相対していくこととなる。

そしてこのゲームには得体の知れない宗教や金持ちの横暴さ、大人の理不尽さ、社会の多様さと縮図がありありと描かれている。このゲームはSFをモチーフとしているが、そこに住んでいる人物達は決して非日常ではない。むしろ、我々と同じ暮らしをしているのだ。

言うなればその社会の理不尽さや面白さを学べる「社会体験ゲーム」とも言える。さらに言えば、ことさら特別にメッセージを作者達が伝えてくれるわけでなく、ただただ体験をさせてくれるところが逆に想像のしがいがあって面白いのだ。

音楽とシステムにも注目を

MOTHERを語る上で欠かせないのが、音楽とシステムだ。

特にゲームシステムは、今までにあったRPGとは違い後に「ドラムカウンター式」と呼ばれるHP計算の面白さだろう。

たとえば私達にはHPが25あるとする。HP25に対して、敵が26の攻撃をしてきたら真っ先に倒れてしまうのは想像に難くないだろう。

一方で前述した「ドラムカウンター式」を使用することで、HP25はゆっくりと0に近づいていく。その間も戦闘は進むので、0になる前に回復をしてしまえば0にならないのだ

ある意味リアルタイムで戦闘するアクティブタイムバトルのような戦闘が出来るのは非常に画期的だった。その戦略性に富んだ戦闘は、今後のRPGでも中々見ることがない面白さだ。

 

音楽(というよりも効果音)は非常に癖になっている。

私個人としては敵を倒した時のファンファーレの心地よさと、レベルアップ時のジングルのメロディの良さには心ひかれるが、人によってはメニューの操作音やドアを開ける音、はたまた敵を攻撃する時の効果音が良いという意見もある。

総合すると、効果音にもしっかりとこだわっており、匠の意気込みを感じる作品なのだ

ゲームファンという、新たな作品を生み出す原動力

MOTHER自体の話はここまでとする。

 

さて、ゲームというのは何もまっさらな状態から作り上げるわけではない。

人は何かしらの着想を得て、それをリスペクトしたりあえて外したり。必ず前例を見てきている。それは音楽だろうが芸術作品だろうが例外ではない。

「守破離」という言葉をご存知だろうか?

「守破離」とは千利休の訓をまとめた『利休道歌』にある、「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」という語源から来ているという。

要するに、師から教わった型を徹底的に「守り」、他者の方法を知って研究して、自分により良い方法を見つけることで型を「破り」、さらに修行を重ねることでオリジナルを作れる。つまり「離れる」のだ。

ゲームで言えば、過去のゲームを知り真似て、様々なゲームを知って型を破り、オリジナルを想像しているのだ。

 

皆さんはTobyFoxという人物をご存知だろうか?多くの人は「Undertaleを作った人だ」と話せば大体の人は「ああ、あの人か」となると思う。知らなければ「Undertale」をプレイしよう。

ネタバレになるが、Undertaleは「MOTHER2」からかなりの影響を受けているらしく、MOTHER2をプレイした人ならニヤリとするようなパロディネタや雰囲気がUndertaleにはそこかしこにある。

またTobyFox氏自身、「MOTHER2」の改造ゲームに携わっていた時期がある。若干グレーであるため多くは触れないが、そもそもあの有名曲「Megalovania」も、その改造ゲーム内にはテンポやキーは違うものの同じメロディラインの曲が流れている。

ちなみにUndertaleはその出来の良さから、現在はPCのみならず任天堂Switchでも配信されているほどのヒット作であり、TobyFox自身も「ポケモン」などに曲を提供しているのだ。

やはりそこには、ゲームファンが持つエネルギーの強さというのが分かるだろう。

 

これは今回の「Oddity」にも言える。

動画で見る分には、MOTHERテイストにしながらも、MOTHERがやりそうでやらなかったシステムも盛り込まれているイメージだ。

何よりこのドット絵感がたまらない。SFC時代を踏襲しつつ、現代にも通用するような感じが実に良い

まとめ

現在Oddityは鋭意製作中ではあるが、完成は近いと思われる。

発売されて、日本語ローカライズされたら筆者もプレイ予定だ。

 

しっかりとこの作品を注目していきたい

今回の記事はここまでです。ありがとうございました。

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